もうひとこと:2010年8月号「採用試験問題例」取材後記
新卒の採用試験は、学生にとっての「動機形成の場」でもある。今回のリクルートエージェントの取材では、そのことを改めて再確認させられた。同社の2011年度の新卒採用では、いろんなセクションの上長が面接に参加。そうした選考過程の中で「こうした社風の会社で働いてみたい」などの新たな入社動機が生まれる。上から目線での採用試験の風土からは生まれない「ウインウイン」の採用試験。効果測定的な視点でいえば、「入社辞退者が少なくなった」という同社データもある。最終面接が終わった時点でしっかりと「入社動機が固まっている」。それも「優れた選考」の一例であり、同社の採用試験はそれを見事に体現している。そう感じた。

もうひとこと:2010年7月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
何か新しいことをやろうとすると、必ずと言っていいほど問われるのが「費用対効果」、さらには「効率化」というもの。今回のカヤックの取材は、おそらく大勢を占めているであろうそうした企業の価値観とは異なる、「目に見えない価値」と企業との関係という視点からも興味深かったし、「今の時代の特徴」が少し見えたような気がした。時代の古都・鎌倉を拠点とするカヤックだけでなく、千葉・幕張を拠点にしているスタートトゥディにしても、そうした「目に見えない価値」を武器にして快進撃を続けているような気がしてならないと感じた。

もうひとこと:2010年6月号「採用試験問題・解答例」取材後記
心理学やカウンセリングの世界でよく使われる「ジョハリの窓」。対人関係の中の自己を理解する手掛かりとして知られる理論だ。リンクアンドモチベーションの採用試験問題では、自らの人生のモチベーション曲線を作成することで自分の自己開示をし、同時に自分が気づかない領域を他人から伝えてもらう(フィードバック)。それは「ジョハリの窓」の理論にも通じるものではないか、と思った。単なる取捨選択の選考ではなく、相互理解を深めることによって、会社側は学生との相性を見極めようと試み、同時に学生はそのプロセスからそれまで気づかなかった、あるいは未知の領域であった「気づき」を得る。「採用学」というものがあるとすれば、その片鱗に触れられた? そんな今回の取材であった。

もうひとこと:2010年5月号「ロングインタビュー」取材後記
「えっ、8ページもあるの!」。メモの合間に頻繁にカメラを構える記者の気持ちを察してだろう、取材中、桜井章一氏はそれとなくシャッターチャンスの場面をつくってくれた。文中の一枚一枚の写真にはそんな雀鬼の一面も隠されている。「カメラマン」として、ファインダーの向こうに見えた桜井氏の「優しさ」に触れたインタビューでもあった。

もうひとこと:2010年4月号「採用試験問題・解答例」取材後記
読者諸兄にはぜひ、ザ・ロングインタビューの記事と併読してもらえれば幸いである。こちらではいわば受け身の就活ではなく、能動的な就活による「気づき」がもう一つのテーマになっているからだ。新卒採用の選考フローでは会社側の理解を深めてもらうための多くの情報が学生側にアウトプットされる。しかし、ネオキャリアでは3次選考スタート以降は、必要以上のアウトプットは一切しない。自分から情報を欲して取りに来ない限り、価値ある情報にはたどり着けないという考えによるものだ。自らが動かなければ何も始まらない。内定者研修的な要素も兼ね備えた採用試験問題――そんな視点からも再読してもらえたらと思う。

もうひとこと:2010年4月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
同じバブル華やかなりし頃に社会人になった者の一人として、園田さんのエピソードや言葉の一つひとつが、共感とともに今も耳に残っている。その一つが「教育という言葉はあまり好きではない。私たちは学習という言葉を使う」というもの。教育ではなく学習。誰もが大人になり、いつしか「学習」は過去の子供時分のもの――そう思い込んではいないだろうか。「気づき」は、受け身の教育からではなく、能動的な学習姿勢から得られるものなのかもしれない。かなり昔に置き去りにしていた「学習」という言葉の深みを、この歳になって改めて再認識させられた1時間でもあった。

もうひとこと:2010年2月号「採用試験問題・解答例」取材後記
学生にしてみれば、予期せぬ「商談」面接の実施。しかもその準備時間はわずか3分。当然ながら、学生によっては極度の緊張感に襲われる人もいるという。小林マネージャーは、「普段の自分の力を発揮してもらうためにも、準備時間の3分間の使い方も大切である」と語っていたのが、とても印象に残った。同社では「一方が選び、もう一方が選ばれる」という関係ではなく、双方が「選び・選ばれる」関係であることをしっかりと事前に伝え、極力、リラックスした状態で「商談」に臨める環境作りを意識している。同マネージャーは「まだまだ課題は残る」と語るが、逸材を見極めるための採用試験とは、実は「試験中」だけでなく、「試験前」から始まっているのだな、と改めて痛感させられた次第。

もうひとこと:2010年1月号「ロングインタビュー」取材後記
取材翌日(土曜日)の早朝、自宅の電話が鳴った。時間は8時30分。こんな時間に自宅の電話が鳴ることは普段、まずない。あるとすれば緊急時。「もしや、身内に何かが!」。寝ぼけ眼をこすり、慌てて電話に出ると、「高齢社の上田です。昨日はありがとうございました・・・」。取材前日にこちらからFAXした質問案を読み直し、「すべての質問に答えられなかったのでは・・・」と心配し、わざわざ電話をしてくれたのだという。なんて深い気遣いのある人なのだろう。逆風にある派遣業界にあって、約360人もの登録社員の70%の稼働率を維持し、登録社員の高い満足度の一番の理由が「社長の人柄・考え方」であることに、あらためて納得させられた一本の電話であった。

もうひとこと:2009年12月号「逸材を見抜く採用試験問題例」取材後記
不採用になった会社に対して、好感を抱く学生はいない――通常そう思われがちな採用試験。アチーブメント社の採用試験でとても共感したのは、選考後の「敵を作らない、別れ方」。会社側が学生との対等な関係作りを常に意識し、学生を応援するというスタンスが、選考フローから強く感じられた。それは中途採用でも同じはず。入社試験に挑む人は、その会社のファンであるか、少なくともその会社に興味があるからだろう。不採用でも、変わらずにファンでいてもらう。そんな採用試験のお手本のような事例だったと思う。

もうひとこと:2009年10月号「逸材を見抜く採用試験問題例」取材後記
「よっしゃ、気に入った!」そんな鶴の一声で採用が決まる映画「社長シリーズ」のような面接試験も、個人的には嫌いではない。しかし、その対極にあるような「自分と合わないと思うタイプの人を(という尺度で)落とさない」というワイキューブの採用スタンスも、個性の尊重、人材のダイバーシティを受け入れるだけの企業の器という観点からも、とても興味深かった。「平均的な似たようなタイプの社員ばかりが集まる」と悩む企業にとって、採用のヒントが充満したケーススタディになれば、との思いで記事にまとめました。次回は12月号。アチーブメント社の採用試験レポートに、乞うご期待!